騎士団長殺しを読んで
2017年3月21日 カテゴリ: 雑談
村上春樹さんの新書を先々週に購入し、先日読み終わりました。
久しぶりに小説を漁るように読んだ気がします。
小説の活字の栄養不足だった私にとっては、乾ききった喉に流し込む夏の麦茶のようにゴクゴクと読むことができました。
(お酒が好きじゃないのでお水で例えました。私が酒好きなら、きっとビールで例えるでしょうね。)
村上春樹さんの小説って、何が良いかと上手く伝えられません。
どんな風な作品ですか?
どんな所がおすすめですか?
と聞かれても上手く答えられないのです。
例えば中村文則さんであったら、人が誰しも持っている心の弱さと暴力性の対比を見事に描写し、作品で描かれている暴力、殺人、犯罪・・・
それを犯してしまった、加害者の心情がとても細やかな表現され、環境次第では、その犯人が自分だったかも知れない・・・と考えさせられます。
セラピストやカウンセラー、人の心のケアをする人に個人的に読んで欲しいなと思う作者の一人は、中村文則さんです。
でも、村上春樹さんって、どんな人にお勧めなのか分かりません。
誰かに勧めても、誰からも良かったと言われた試しがありません。
あんなに本屋で平積みされているのに、同じくらい好きな人と出会ったことがないのが不思議です。
村上春樹さんの作品を言葉として、または文字として語り、伝えようとすると、すべてが安っぽくなってしまうから不思議です。
きっと読書感想文にも適さないし、アマゾンなどで書評もするのもとても困難です。
しかし、他の作家のどの作品よりも、自分の内側を満たしてくれます。
頭で作品を捉えるのではなく心で受け取る、いや少し大げさに言えば魂で読むような感覚に近いのかも知れません。
ですが、魂という言葉を説明すればするほど上手く伝わらないように、村上春樹さんの作品も説明すればするほど上手く伝わりません。
なので個人的な感想を言えば、
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
「羊をめぐる冒険」
「海辺のカフカ」
「ねじまき鳥クロニクル」
そして「蜂蜜パイ」を合わせたような作品に感じます。
村上春樹さんの名作を全て凝縮させたような面白さがありました。
残念ながら、僕には、この程度の感想しか残せません。
でも本を読んでいるときは凄く充実した気持ちになり、読み終わった数日後でも、まだ余韻に浸れているのがすごいなと思います。
酒に酔い、音の波に揺られて心地良いように、村上春樹さんの作品は文字や文章に心地良く酔える感じですね。
久しぶりに、ノルウェイの森が読みたくなりました。
最後までお付き合いありがとうございました。
横浜キネシオロジー スリーエイトの澤でした。